ナポレオン・ヒルと思い込み
「あなたの能力に限界を加えるものは、他ならぬあなた自身の思い込みなのです。」 (ナポレオン・ヒル)
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私は正直、ナポレオン・ヒルさんを存知あげませんが、好きな人が最初の言葉をナポレオン・ヒルさんの言葉なんだよという紹介とともに見た場合、スッと腑に落ちるのではないでしょうか。
冒頭にあげた言葉にしろ、ナポレオン・ヒルさんの著書のタイトル「思考は現実化する」にしろ、私からすれば暗示以外の何物でもないのですが、ナポレオン・ヒルさんの言葉として 紹介されるか、催眠暗示の一例として紹介されるかで、悲しいことに暗示の入りが違います。
催眠術師は、どうしても「それは催眠だ!」って言いたくはなるのですが、それだと暗示の入りが悪い、もしかすると拒絶として現れるのであれば、催眠だ! って言うのは諦めざるを得ないのかもしれませんね。催眠術師としては悲しいけれど。
これを心理学では「権威性」というのでしょうが、私自身はそういう類の権威への信頼が非常に薄い人なので、有名人の言葉だからスッと入ってしまうっていう心理があまり理解できません。
だから逆に私は、世の中からの信頼が薄くとも、実際にやってみて、その絶大な力を自らの手で知ることができた催眠術への信頼が厚いのかも知れません。
個人的には『1908年、新聞記者として世界の鉄鋼王アンドリュー・カーネギーにインタビューをした事をきっかけに、「20年間無償で500名以上の成功者の研究をして、成功哲学を体系化してくれないか」と頼まれる。 彼は「やらせてください」と即答、それから20年間苦悩の末、約束通り1928年に『頭を使って豊かになれ(思考は現実化する)』(Think and Grow Rich)を執筆する。(ウィキペディアより)』っていうくだりが嘘くさすぎてもうダメです。
20年間のタダ働きなんて、鉄鋼王はどれだけケチなんだよ、世界初のブラック経営者か! って思ってしまいます。私は、人にものを頼むときに、平気でタダ働きを依頼できる人間にはろくな経営者はいないと思っているからかも知れませんが。
でも、ナポレオン・ヒルさんはスゲー! って思っている人は、何の疑問も持たない。
何の疑問も持たずに入ってしまう、それこそが、催眠暗示なんですけどね。
個人的には20年間のタダ働きよりは、催眠暗示で指がくっついて離れなくなったり、椅子から立てなくなる方が現実的です。
ただ、私を含め、催眠術師は、自分自身の価値観はどうあれ、人が持っている価値観を尊重し、人格を尊重し、催眠(といってもあくまで自己暗示)にかかる人の人生が豊かになるように導く必要があるのかなと思います。
カーネギーさんとの逸話はさておき、思い込みの力については、実はナポレオン・ヒルさんに同意せざるを得ないんですけどね(汗)。