記憶は創ることができる

催眠術の退行催眠で、過去のトラウマを解決して今の問題を解決する手法が話題になったことがあります。

過去退行催眠で幼少期に虐待に遭っていた過去があることが発覚するも、どんなに調べても虐待の事実はなく、ムダに家族間の信頼を損ねるだけになったというもの。

これ、まともな催眠術師なら、どこに問題があるかわかりますよね。 現在の問題を解決するのに、過去のトラウマを解決する必要があるということを明にか暗にか示された後で過去退行催眠をかけたら、本人は無理に過去のトラウマを創りだすに決まっています。
なぜなら、それが催眠だから。

今の問題を解決するには、過去にその原因となるトラウマが必要であるならば、それを創りだそうとするのが催眠。トラウマが無いと困ってしまいますからね。

ずっと胃の調子が悪かった私は「きっと私にはピロリ菌がいて、それを除去すれば楽になるんだ」と、ピロリ菌がいることを半ば期待して病院に行ったものの、ピロリ菌がいなくてがっかりしたことがあります。
さすがに催眠をもってしても、いないピロリ菌を創りだすことはできなかったようですが、記憶は簡単に創りかえることができるので、気を付ける必要があります。

あなたの周りに、堂々とした嘘つきはいませんか? あれって、本人に嘘をついているという自覚はなく、自分で自分に誤った記憶を植え付けて、自分で自分に誤った真実を信じさせているんですよね。 だから、どんなにそれが間違いだ、嘘だって根拠や証拠を示して説明しても無駄なので、そういう時は諦めて下さい。

自分で自分に嘘や誤りを真実だと植え付けることができる人間がいるのだもの、今の自分を救うために、過去の記憶を創りかえるなんて、人間には造作もないことなのです。

真実を引き出そうとするときには、例えば自分の子供が本当にお腹が痛いのかどうか確認するようなことでもいいですが、余計な暗示を入れてしまわないように気を付ける必要がありますね。

やなぎともあき

柳 知明
(やなぎ ともあき)

・行政書士
・メンタリスト
・催眠術師

 真のメンタリストとは「人の心を読み暗示にかける者、思考と行動を操作する者」のことであると信じ、究極の暗示である催眠とメンタリズムを組み合わせたパフォーマンスを行う。


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